ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!
 唐突にされた質問に、私は何を聞くのかと戸惑った。確かヴィクトルはさっき、自分でそう言っていたはずだけど。

「そうです。敵や魔物を国境で退けている騎士団の司令官なので、この程度の重さをこの距離歩くことが出来ないようでは、とても務まりません。どうか、気にしないでください。僕がやりたくてやっているだけなので」

「……ごめんなさい」

 そんな彼にまるで力ない男性だと心配したように聞こえてしまったかもしれない。失礼なことを言ってしまった。

「謝るようなことでもないですよ。レティシア。公爵令嬢は、自分より身分の低い者に対し、このように簡単に謝ってはいけません」

 そっか……そうだよね。貴族って難しい。ヴィクトルに辺境に匿って貰う間に、勉強しなきゃ。

「ごめ……ふふ。まだ、謝るところでした」

 日本人って、他の国の人からすると、驚くくらい謝っているっていうよね……いけないいけない。合わせなきゃ。

 せっかく幸運すぎる偶然でヴィクトルに助けて貰ったと言うのに、怪しまれてもいけない。

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