ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!

05 意外な見送り

「さあ……それでは、僕が守る国境、デストレへ帰りましょう。この天馬車は守護魔法が掛けられていて、上空でも寒くはないので、安心してください。レティシア」

 彼に視線でそれを見るように促された私は目を見開いて、目の前にある信じられないものをまじまじと見た。

 だから、ヴィクトルは、この不思議な馬車の発着場に着きたくて、城の階段をずっと上がっていたんだ!

「すごい……」

 そこに用意されていたのは、白い翼ある大きな馬四頭に引かれた馬車。芸術品のように瀟洒な彫刻が施されたお洒落な灰色の馬車は、かなり大きくて、私たち二人乗るには十分なようだ。

 すごい。シンデレラの馬車みたい! と思ったけど、それを引くのは翼ある白馬。

 なんだかこの世界、重量オーバーくらい乙女の夢を満載しているけど、乙女ゲームならば、それは当然のことかもしれない。

 ここは、魔法がある世界観なんだ。私の憧れていた異世界転生、そのまま。

「……ライアン。お前はルブラン公爵へ伝言を。今夜、リアム殿下の婚約者ではなくなったレティシア嬢は、俺がデストレへ連れ帰ると」

「御意」

 ヴィクトルは天馬車の傍に控えていた部下らしき人に伝え、その指示を聞いた彼は城の中へとサッと入って行った。

 あ。あの人が、今の私のお父様ルブラン公爵に、何処に行くか伝えてくれるってこと?

 全ての面倒を代行してくれるヴィクトルが私得過ぎて、手を合わせて拝むしかない……感謝。

 生まれて来てくれて、ありがとうございます。好みの容姿すぎて、目の保養にも勝手にさせて頂いております。

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