ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!

08 王子様の事情

「なっ……なんで、そんなことを?」

 私が頭に浮かんだままで問うと、リアム殿下ははーっと大きくため息をついた。

「俺の祖母……皇太后の希望だ。あの人は珍しい死病に侵され、余命いくばくもない。だが、そんな時に何百年振りに神殿に現れた聖女が現れた。それは、何故か記憶を失っているはずのレティシアも知っているようだが?」

 皮肉めいた口調は、聖女様のことを誰かが誤解して、私に言い含めたと思っているらしい。

 けど、それって私が婚約破棄ものを読みすぎていて、きっとこんな感じだよね! と、思ってしまった間違った思い込みのせいだったので、完全に勘違いだし、多分彼の中で犯人にされているヴィクトルには何の罪はない。

 それは……彼には言えないけど。

「初代王が異世界から来た聖女と結ばれてしまったせいか、皇太后には、聖女には特別な思い入れがあるんだ」

「それは、聞きました……」

 ヴィクトルも以前に言っていた通り、聖女が現れた時の王族は、聖女と結婚しているらしい。

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