手が届かない憧れの騎士様を庇って命を落としたら、それまで積み上げた善行が認められ彼の守護女神に抜擢されてしまうという羞恥プレイ。
 そして、ヒースの少々色っぽい声が聞こえて来た。彼はそのまま流せる浴室でそういうことを済ませる効率の良いタイプらしく、入浴中にそういう声が聞こえてくる。

 ……しかも、毎日。清く正しいことが望まれる聖騎士だから、大手を振って娼館などには行けないのかもしれない。

 男性には自慰行為も必要で、出さないと溜まってしまうという身体の作りも理解はしているものの、守護女神はこういう時にも傍に居なければならないので本当に複雑な想いを抱くしかない。

 何かを扱く卑猥な音と、荒くなっていく呼吸。ああ。もう少しで終わるかもしれない……。

「……っスティ……はあっ……はあ……」

 ……え? さっき……私の名前呼ばなかった?

 私が驚きのあまり不意に瞼を開けると、ヒースは桶に入った水を床に流して後始末の真っ最中だった。

 え。当然だけど裸よね。ごめんなさいっ……なんなの。聞き間違い? もう……恥ずかしい。

 思い返せばさっき一瞬だけ見たヒースの逞しい身体には歴戦の戦いの証なのか、古傷が多くあった。

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