手が届かない憧れの騎士様を庇って命を落としたら、それまで積み上げた善行が認められ彼の守護女神に抜擢されてしまうという羞恥プレイ。
 ヒースの整った顔は青いし喉の調子がおかしいのか、しきりにヒュウヒュウという苦しそうな息が繰り返し漏れている。

 これは、誰かに毒を盛られたのかもしれない……さっきの食事には命に関わるようなものはなかったはずだけど……私は扉の方を見ると、小さなお香のようなものが焚かれていて、まずそれを先に神聖力によって無効化させた。

 なるほど、命には無害な睡眠薬のようなものを飲ませ私たちが眠っている間に扉の下からお香を入れたのね。とにかく空気の入れ換えをしなければと窓を開けようと念じ、窓が大きく音を立てて開いた。

 よし、これで良いわ。これ以上、ヒースが体調を悪くすることはない。

 よくよく観察すると……今のヒースの状況は、あまり良くないみたい。私はここで自分はどうするべきかと悩んだ。

 私の能力で毒を消すこと自体は可能なのだけど、身体の隅々まで行き渡らせるには私の神聖力をヒースの体内に直接入れることが良いと判断した。

 ……けど、守護対象と守護女神の関係性で深いキスをしてしまって良いものなの?

 荒い息を繰り返してはひどく苦しそうなヒースを見て、私は覚悟を決めた。

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