手が届かない憧れの騎士様を庇って命を落としたら、それまで積み上げた善行が認められ彼の守護女神に抜擢されてしまうという羞恥プレイ。
 ええ。油断をしていてこの事態を防げなかったし、悪いのは全部守護女神である私よ! もしキスしたことに不満があるなら、後でいくらでも責めるが良いわ。

 だから、ここは効率の良い治療しましょう。

 私は身体を横にしたヒースに覆い被さるようにして、顔を固定すると彼の唇に自分の唇を載せた。

 しっとりと濡れた熱い舌が何かを求めるように口内を彷徨ったので、私はそこにたっぷりと自分の持っている神聖力を注ぎ込んだ。

 ヒースが模範的な聖騎士なので、そのご褒美に私の神聖力はいつでも最高の結果が出せる。

 ふわりと光が舞い、私たち二人の身体が光った。あ。これ……あまり、良くないわ。

 私は慌てて窓を閉めて分厚いカーテンも、きっちりと閉めた。慌てたあまりに神聖力をヒースに注ぎ込み過ぎたようで、彼の身体も燐光を放ち人ならざるような存在になってしまっている。

 誰かに見られれば、あまり良くないことが起こるだろう。

「……ミスティ?」

「ヒース……」

 なんと驚くべきことにお互いに酷く重い感情を持ちながら私たち二人は、この時初めて会話を交わしたのだ。

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