手が届かない憧れの騎士様を庇って命を落としたら、それまで積み上げた善行が認められ彼の守護女神に抜擢されてしまうという羞恥プレイ。
 え。そうだったんだ……確かに私も亡くなったから共同墓地に葬られると思っていたから、家財道具売り払ったらあの小さなお墓のお金くらいは出たんだとしか考えていなかったわ。

 ヒースが命の恩人のために、墓地にお金を払ってお墓まで建ててくれたのね……それだけでも全然良いんだけど。

「……黙れ。お前に何がわかる。あの子はお金がなかったとしても、慈善院へ寄付をしていたという……そんな彼女に、僕は命を繋いでもらったんだ。亡くなった後にだって感謝をして何が悪い」

 そっ……それは、多分聞いた人から話を大きくされていると思うけど、ただ定期的な寄付の誘いを断り切れず渋々出していただけで……別に私が善人だったとか、そういう訳でもなくって……なんだかヒースの中での私がすごく良い人になってそうで怖い。

 ただの人なのよ。今は女神だけど……本当に、隣の家に住んでいるおばちゃんの勢いに呑まれ断り切れずに、慈善院にお手伝いに行ったり言われるがままに寄付金を納めちゃう凡人なんだって……。

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