隣の席の坂本くんが今日も私を笑わせてくる。

 「──笑ったら、真面目に諭された!? アッハッハッヒィ〜〜〜〜〜!!!」

 お腹を抱えて爆笑する早川さんの声が、とあるファミレスの一角に響き渡ります。 

 早川さんの隣に座る丹生さんも「笑うな、早川……フ……クッ」と、宥めている本人すら言葉の端々が震えています。

 対面に座る私からは、他の客からの視線がよく見えます。うるさい、と言いたげな視線たちを感じて早速帰りたくなってきましたが、目の前にいるふたりが逃してくれる雰囲気ではありません。

 坂本くんの顔面デッドボール事件後、手当を終え、ちょうどやってきた保健の先生に坂本くんを引き渡しました。

 ようやく1日の授業を終えて、颯爽と教室を後にしようとしていた時です。

 背後からがっと私の肩を組む人物がいました。
 この馴れ馴れしさは、早川さん以外ありえません。

 『倉橋さーん、この後暇だよね?』
 『暇じゃないです』
 『まあまあそう言わさんな。ケーキ奢るからよォ〜』
 『……行きましょう』
 『アッハ、話が早くて助かるぜ〜(チョロ〜〜)』

 私、早川さん、すぐそばに居合わせた丹生さんの謎メンツでファミレスにやってきたのです。 

 そして、冒頭に繋がります。

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