コワモテ御曹司のごほうびは私!?どうやらスパダリを手に入れてしまったようです
「18人目?」
「今月だけでね」
「父親のあとを継いでCEOになったからって横暴すぎだろ」
「アメリカ帰りでしょう? 感覚が違いそうだよね」
若手のホープだった木村の福岡転勤の話はすぐに部内に広がった。
「どうしよう、私、今から会議だよ」
私もどこかに飛ばされるかもと美沙は同期の絵里に泣きつく。
そんなことないよ、大丈夫だよと言われない状況が辛すぎる。
美沙は行きたくないなと溜息をついた。
資料を手に持ち、愛用のペンと電卓を握りしめて会議室へ。
飛び出そうな心臓を落ち着かせる余裕もないまま会議は始まった。
林田部長が概要を説明し、次はプロジェクトリーダーがスライドを使用しながら説明していく。
美沙は議事録を取りながら、早く会議が終わることを祈った。
「もう少しターゲットを具体的に」
「20代から40代の女性です」
「主婦と会社員でも同じなのか?」
「そ、それは……」
部長! 困った顔でチラッとこちらを見ないでください!
俺がCEOにガツンと言ってやる! と言っていたじゃないですか!
しっかりプロジェクトリーダーをフォローしてくださいよ。
下っ端の美沙が勝手に発言するわけにもいかず、オロオロする部長とプロジェクトリーダーを見ていることしかできない。
「……佐藤美沙、おまえはどう思う?」
西郷は長い足を組みながら椅子の背もたれに身体を預けた。
「は、はいっ」
急に名前を呼ばれた美沙は心臓が飛び出たと思いながら慌てて立ち上がる。
「会社員でも、小さい子供を子育て中の主婦も、そして子育てが終わった女性でも、一人でゆったり過ごす『ごほうび時間』は必要だと思います。職業や年齢に囚われず、幅広い層に人気が出る商品になると思っています」
で、回答になったのだろうか?
答えたあと、急に美沙に不安が押し寄せた。
「……そうか」
秘書にタブレットを要求し、数回スクロールした西郷は手を口元にあてながら「……変わっていないな」と呟く。
「続きを」
「は、はい。西郷CEO」
再びプロジェクトリーダーが説明をし、いくつか質問はあったけれど会議は無事に終わった。
……はずだったのに。
「……どうして」
部長から手渡された辞令に、美沙は顔面蒼白になった。
「今月だけでね」
「父親のあとを継いでCEOになったからって横暴すぎだろ」
「アメリカ帰りでしょう? 感覚が違いそうだよね」
若手のホープだった木村の福岡転勤の話はすぐに部内に広がった。
「どうしよう、私、今から会議だよ」
私もどこかに飛ばされるかもと美沙は同期の絵里に泣きつく。
そんなことないよ、大丈夫だよと言われない状況が辛すぎる。
美沙は行きたくないなと溜息をついた。
資料を手に持ち、愛用のペンと電卓を握りしめて会議室へ。
飛び出そうな心臓を落ち着かせる余裕もないまま会議は始まった。
林田部長が概要を説明し、次はプロジェクトリーダーがスライドを使用しながら説明していく。
美沙は議事録を取りながら、早く会議が終わることを祈った。
「もう少しターゲットを具体的に」
「20代から40代の女性です」
「主婦と会社員でも同じなのか?」
「そ、それは……」
部長! 困った顔でチラッとこちらを見ないでください!
俺がCEOにガツンと言ってやる! と言っていたじゃないですか!
しっかりプロジェクトリーダーをフォローしてくださいよ。
下っ端の美沙が勝手に発言するわけにもいかず、オロオロする部長とプロジェクトリーダーを見ていることしかできない。
「……佐藤美沙、おまえはどう思う?」
西郷は長い足を組みながら椅子の背もたれに身体を預けた。
「は、はいっ」
急に名前を呼ばれた美沙は心臓が飛び出たと思いながら慌てて立ち上がる。
「会社員でも、小さい子供を子育て中の主婦も、そして子育てが終わった女性でも、一人でゆったり過ごす『ごほうび時間』は必要だと思います。職業や年齢に囚われず、幅広い層に人気が出る商品になると思っています」
で、回答になったのだろうか?
答えたあと、急に美沙に不安が押し寄せた。
「……そうか」
秘書にタブレットを要求し、数回スクロールした西郷は手を口元にあてながら「……変わっていないな」と呟く。
「続きを」
「は、はい。西郷CEO」
再びプロジェクトリーダーが説明をし、いくつか質問はあったけれど会議は無事に終わった。
……はずだったのに。
「……どうして」
部長から手渡された辞令に、美沙は顔面蒼白になった。