コワモテ御曹司のごほうびは私!?どうやらスパダリを手に入れてしまったようです
「恋人をやめるなんて言わないでくれよ」
 美沙の髪をひと掬いしながら懇願する彰に、美沙は固まった。
 
 車はマンションの駐車場につき、エレベーターで部屋へ。
 そうだ! いろいろあって忘れていたけれど、今日はここに泊まるんだった!

「着替えて早く寝ろ」
「明日は8時に来ます」
 カバンと服を渡された美沙は、ようやく駐車場からずっと夏目に持たせていたことに気がついた。
 
「荷物! ごめんなさい!」
「美沙さん、気にしないでください。アキ、ワインはいつものように?」
「あぁ」
 お店の袋からワインを1箱取り出した夏目は、キッチンの方へ。
 
「彰様、今日はいろいろとありがとうございました」
「連れまわして悪かったな。ゆっくり休め」
「夢のような体験でした」
「……『ごほうび時間』になったか?」
「はい! ありがとうございます」
 ペコリとお辞儀をした美沙はホテルのような豪華な部屋へ。
 夜景もスゴイし、部屋の中も充実している。

 こんなすごい部屋、緊張して眠れないと思ったはずなのに、ふかふかベッドに横になった瞬間、美沙の記憶はなくなった。

 翌朝、スマホのアラームで目が覚めた美沙は着信履歴に目を見開いた。
 着信15回、メッセージ38件。
 全部、翔太からだ。

『どこにいるの?』
『なんで帰ってこないの?』
『外泊?』
『誰と一緒?』

 もう別れたのに、一体なんなの?
 付き合っているときだって、こんなにメッセージをくれたことはなかったのに。

 美沙は朝からドッと疲れてしまった。
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