コワモテ御曹司のごほうびは私!?どうやらスパダリを手に入れてしまったようです
「そろそろ福岡支店、開発部先行技術室の木村室長と会議です」
「余韻に浸る時間もないのか」
「そうですね。アキが寝ていたのがいけないのかと」
チッと舌打ちすると、彰は髪を掻き揚げながら会議室へと向かう。
美沙は何度も指輪を見ながら真っ赤な顔で彰について行った。
「あれ? 佐藤さん?」
「お久しぶりです、木村さん。あっ、木村室長って木村さん? 昇進おめでとうございます」
私は統括室に異動ですと微笑みながら美沙は会議室の扉を開ける。
「西郷CEO、福岡支店に転勤させていただいてありがとうございます」
木村は急いで立ち上がると、部屋に入った彰に深々と頭を下げた。
木村は自分が大分の出身だったこと、自分は知らされていなかったが実は母が入院していたこと、福岡から毎週末は母の病院へ通っていること、福岡支店では自分のための室が創設され、やる気のあるメンバーが集められていたことを美沙と林田部長に話す。
左遷だと落ち込んでいたと聞いていた木村が栄転だったと知った美沙は、彰の優しさを感じて嬉しくなってしまった。
言い方は冷たいけれど、見た目も怖いけれど、実は優しいんだよね……。
会議は先日の特許が先を越された件について。
木村は綾小路商事が申請した特許には大切な技術が含まれていないので、弊社も申請が可能だと言い切った。
「特許のための書類を作ってきました。そしてこの特許が取れれば、綾小路商事が類似品を作った場合、弊社に技術使用料を支払うことになります」
この技術がないと作れないと木村はホワイトボードを使ってわかりやすく説明をしてくれる。
「……左遷だと思い込んで、大事な技術の核心部分をサーバーから消し、自分のローカルフォルダに保存しました。申し訳ありませんでした」
「いや、おまえのおかげで助かった」
困らせるつもりでやったと謝罪した木村に、結果としてはサーバーから消してくれてよかったと彰は笑った。
「余韻に浸る時間もないのか」
「そうですね。アキが寝ていたのがいけないのかと」
チッと舌打ちすると、彰は髪を掻き揚げながら会議室へと向かう。
美沙は何度も指輪を見ながら真っ赤な顔で彰について行った。
「あれ? 佐藤さん?」
「お久しぶりです、木村さん。あっ、木村室長って木村さん? 昇進おめでとうございます」
私は統括室に異動ですと微笑みながら美沙は会議室の扉を開ける。
「西郷CEO、福岡支店に転勤させていただいてありがとうございます」
木村は急いで立ち上がると、部屋に入った彰に深々と頭を下げた。
木村は自分が大分の出身だったこと、自分は知らされていなかったが実は母が入院していたこと、福岡から毎週末は母の病院へ通っていること、福岡支店では自分のための室が創設され、やる気のあるメンバーが集められていたことを美沙と林田部長に話す。
左遷だと落ち込んでいたと聞いていた木村が栄転だったと知った美沙は、彰の優しさを感じて嬉しくなってしまった。
言い方は冷たいけれど、見た目も怖いけれど、実は優しいんだよね……。
会議は先日の特許が先を越された件について。
木村は綾小路商事が申請した特許には大切な技術が含まれていないので、弊社も申請が可能だと言い切った。
「特許のための書類を作ってきました。そしてこの特許が取れれば、綾小路商事が類似品を作った場合、弊社に技術使用料を支払うことになります」
この技術がないと作れないと木村はホワイトボードを使ってわかりやすく説明をしてくれる。
「……左遷だと思い込んで、大事な技術の核心部分をサーバーから消し、自分のローカルフォルダに保存しました。申し訳ありませんでした」
「いや、おまえのおかげで助かった」
困らせるつもりでやったと謝罪した木村に、結果としてはサーバーから消してくれてよかったと彰は笑った。