コワモテ御曹司のごほうびは私!?どうやらスパダリを手に入れてしまったようです
「美沙、アイツが接触してくるはずだ」
「どうしてわかるのですか?」
「パスワードを変えたからな」
 あ、そうか。不正アクセスができなくなったから探ってくるってこと?
 
「あと特別共有フォルダに『関係者外秘』という罠を仕掛けたのです。普通の人は権限がなくて開けないのですよ」
 気になるでしょう? と夏目が笑う。

「中身は俺が10歳の時に作ったゲームだ」
 万が一見られても大丈夫だと彰もニヤリと笑った。

 本当に来るのかな?
 美沙はそんなすぐに翔太は来ないだろうと思いながら、社員食堂で同期の絵里と菜々美とランチを楽しんだ。

「ねぇ~、ちょっとさ、気になってるんだけどぉ」
「私も~」
「え? 何が?」
 サラダのキュウリを頬張りながら美沙が答えると、絵里と菜々美は美沙の右手を指差した。

「どういうこと?」
「相手紹介してもらってないんだけど」
 美沙の右手の薬指には婚約指輪。
 さっきもらった婚約指輪だ!

「えっと、これは、その」
 しまった! 外してくるのを忘れた!
 こんな所で演技だって言えないし、相手が彰様だなんてもっと言えない。
 
「なによ、ちゃっかり。幸せなんじゃない! あーあ、心配して損した~」
「ホント、元カレ引きずってるかと思ったのにさー」
 相手はどんな人? 何歳? 何をしている人?
 二人からの質問が続き、美沙は焦る。

「待って、待って、無理ムリ!」
 そんなに答えられないと美沙は両手を左右に振った。
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