コワモテ御曹司のごほうびは私!?どうやらスパダリを手に入れてしまったようです
「佐藤さん、荷物はそれだけですか?」
「はい、これだけです」
 どうぞと部屋に招き入れてもらった美沙はさらに衝撃を受けた。

「……西郷CEO?」
 どうして同じ部屋に?
 いや、それよりもどうしてソファーで寝ているの?

「23時からパリの取引先と、0時からロンドン、今朝3時からニューヨーク、5時からシカゴと会議がありまして」
 やっと先ほど眠ったところだと夏目は理由を教えてくれた。

 時差があるから夜中に会議ってこと?
 CEOってそんなに大変なの?

 デスクは夏目さんの隣。
 ロッカーは女性用がなく簡易スペースですみませんと謝罪された。
 ウォークインクローゼットには西郷CEOのスーツだけでなくタキシードや小物まで。
 簡易キッチンにはコーヒーミルやドリップの道具もあり、今までいたフロアと全然違った。

「仕事は主に私の補佐です」
「あの、どうしてですか? 私は秘書の経験もないですし、今までの業務も全然違うのに」
「理由は西郷CEOにお尋ねください」
 あー、そうだよね。
 夏目さんだって急にこんなド素人に異動して来られて困ってるよね。

「荷物が落ち着いたら業務の説明をしますので、声をかけてください」
「今からでも大丈夫です。荷物は少ないので」
 と言ってしまった自分を殴ってやりたい。

 驚くほどの激務に、美沙は僅か1時間で心が折れそうだった。
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