コワモテ御曹司のごほうびは私!?どうやらスパダリを手に入れてしまったようです
「美沙は入社試験の面接の質問を覚えているか?」
「え? 入社試験?」
 入社試験は5年前。
 記憶は曖昧だけれど……。
 
『あなたはこの会社でどんなことがしたいですか?』
『私はみんなに「ごほうび時間」を提供できるような商品を開発したいです』
『誰向けですか?』
『みんなにです。老若男女問わず誰からも必要とされる商品にしたいです。頑張っていない人なんていないはずですから、みんなに「ごほうび」は必要です』
 
 今思えば、あの時の面接官の中に彰様がいたような気がする。
 緊張して、しかも入社前で面接官が誰なんて気にしていなかったけれど。

「子供の頃からずっと『できて当たり前』と言われて、何か成果を残しても『当然』だと言われてきた俺でも『ごほうび』をもらっていいのだと、頑張っていない人なんていないと言われたことで心が救われた気がした」
 できて当たり前……?
 もしかして御曹司だから?
 お金もいっぱいあって好きなことができて、良い所に住んで良い物を食べて、頭も当然良くて語学も堪能で、何度も海外旅行に行って、望めばすべてが叶うのが庶民から見た御曹司のイメージだ。
 でも実際には寝る間も惜しんで会社のために働いていて……。

「美沙、俺にごほうびをくれ」
「ごほうび……ですか? 私があげられるものなんて……」
 何でも持っている彰様に何を?
 
「美沙がほしい。俺に美沙をくれ」
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