屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
わけを聞くと、子どもの将来のことも考えたら今の経営のままでは苦しいと。

そこで鳥飼さんの話を聞いてみたら、立ち退き料に加え、ここにできるショッピングモールの中に新しくお店をオープンさせてもらえると話を持ちかけられたのだそう。


今立ち退けば、モールで新規オープンできるという噂はたちまち広まり、パン屋さんに続き、ケーキ屋さんまでも立ち退きに同意した。


その話は、もちろんお母さんの耳にも入っていたようで――。


「心晴。一度でいいから、鳥飼さんの話を聞いてみたら?」

「お母さんまでそんなこと…!」

「だって心晴、自分のカフェを持つことが夢なんでしょ?この店を改装するのは無理だから、話に乗って新しいショッピングモールで――」

「そういうことじゃないよ…!わたしは、お父さんとお母さんが作ったこのお店がいいのっ」
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