屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
だけど、鳥飼さんの話をすべて鵜呑みにするのは危険だということはわかる。


だから、それからも度々鳥飼さんがやってくるたびにわたしは話も聞かずに追い返した。


すると、あれだけ足を運んでいた鳥飼さんがぱったりとこなくなった。


ようやく諦めてくれた…?


そう思っていた矢先――。


「すみません、組合会長さまはいらっしゃいますでしょうか」


ある日、閉店後のお店にスーツ姿の男の人がやってきた。


見上げるほどの長身に、整った顔。

落ち着きのある低い声。


すぐにわかった。

前に赤髪の人に絡まれたときに助けてくれたスーツの男の人だと。


「…あっ。こ、この前は、助けていただきありがとうございました…!」

「いえ、たいしたことはしていません」


冷静な受け答え。

前から思っていたけど、あまり笑わない人だ。
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