屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
建物の老朽化や店主の高齢化などで、いっしょに商店街をもり立てていたお店は次々と閉店。

いわゆる、シャッター商店街となりつつあった。


なんとか今も経営しているお店も、この先どうなるかはわからない。

他人事とは言えなかった。


それに、ウチも2年前に一度、店仕舞いしようかという話になった。

というのも、お父さんが病気で亡くなったのだ。


仕入れ、仕込み、調理、販売、経営のすべてをお母さん1人だけやるには無理がある。


だけど、昔からのお客さんは今もウチのお弁当を楽しみに買いにきてくれる。

そんな人たちのことを考えたら、これからも続けていきたい。


そこで2年前、わたしは当時働いていたデザイン制作会社を退社し、お母さんといっしょにお店を経営することにした。


両親2人の姿を見て育ってきたから、わたしも料理は好きで得意なほうではあった。
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