屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「そういえば、ウチの母に用ですよね…!」

「はい。『アーバンオアシス』の阿久津(あくつ)と申します」

「阿久津さまですね。今呼んできますので、少々お待ちください」


わたしはお店の奥へ入って、お母さんを呼びにいった。


あの人、“阿久津さん”っていうんだ。

それよりも、『アーバンオアシス』っていう会社名…どこかで聞いたことがあるような。


「お母さん!アーバンオアシスの阿久津さんって人がこられたんだけど」

「そう、ありがとう。悪いけど、心晴も同席してくれる?」

「え…?う、うん」


よくわからなかったけど、わたしはひとまずうなずいた。

しかし、同席してようやく話の意図がわかった。


「申し遅れましたが、『アーバンオアシス』の阿久津と申します」


阿久津さんからもらった名刺を見ると、『副社長』という肩書きが書いてあった。
< 20 / 88 >

この作品をシェア

pagetop