屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「心配しないでよ。わたしなら大丈夫だから!お母さんは治療に専念して、またいっしょにお弁当作ろ」


今のお母さんは、病気が原因で弱気になりかけている。

お母さんを安心させるために、わたしがしっかりしなくちゃ!



こうして、お母さんは投薬治療のために長期的に入院することになった。

そして、わたし1人でキッチンひだまりを切り盛りすることに。


だいたいの仕事はできるとしても、そのすべてを1人でこなすのは想像以上に大変だった。

あっという間に1日、1週間、1ヶ月が過ぎていく。


その間にも、阿久津さんは何度もウチにやってきた。

しかし、前みたいな立ち退き話ではなかった。


「お母さまの具合はいかがですか?」

「…まあ、数値は徐々によくなっています」

「それはよかったです」


とお母さんのことを気遣ってくれたり。
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