屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
一文無しになってしまったわたしは、住むところもなければ頼る人もいない。

貴斗に連絡しようにもスマホは灰になってしまい連絡は取れず、新しく引っ越した場所も駅近のマンションというだけでどこかまでは聞いていなかった。


だから、見兼ねた阿久津さんが『部屋が余っているから』とわたしを自宅に連れてきてくれた。


正直、商店街の憎き敵である男の家に住まわせてもらうことに非常に抵抗があった。

だけど、今のわたしは本当になにもないから、悔しいけど…ありがたい。


さすがにタダで住まわせてもらうのは気が引けるため、家事代行にお願いしていたという家の家事を任せてもらっている。


阿久津さんの家は、美風商店街を遠くのほうから見下ろすことのできるタワーマンションの最上階。

ウチの自宅兼店舗が余裕で収まるくらいの広すぎる部屋に、安久津さんは1人で住んでいる。
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