屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
阿久津さんが帰ってきたのだ。


「阿久津さん…!?」


こんな時間に帰宅するとは思っていなかったから驚いた。


「…ああ、悪い。食事中だったか」

「いえ、それは構いませんが…」


謝られたけど、ここは阿久津さんの家だから謝るようなことはされていない。


「夕食か?なにを食べているんだ?」

「ジェノベーゼパスタと…、ローストビーフです」

「…もしかして、すべて手作り?」

「はい。料理くらいしかやることないので」


そのとき、リビングにグゥ~…と情けない音が響いた。

キョトンとして音のしたほうに目を向けると、それは阿久津さんのお腹。


「いい匂いがしているから…つい。…恥ずかしい音を聞かれたな」


阿久津さんは少し頬を赤らめながら、恥ずかしそうに顔をそらす。


阿久津さんも、こんな顔…するんだ。
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