屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜

「…大丈夫ですかっ、阿久津さん！」


慌てて駆け寄り、阿久津さんの体を抱き起こす。


火照った顔に、荒い息遣い。

額に手をやると熱かった。


「すごい熱っ…」


なんとか阿久津さんを部屋へと連れていき、ベッドの上に寝かせる。

それからリビングへ行き、風邪薬と水の入ったグラスを持って再び阿久津さんの部屋へ。


「…悪いな。こんな時間にこんなことをさせて…」

「いえ…」


さっきよりも意識がはっきりとしている阿久津さんに、少しだけほっとした。


阿久津さんは、わたしが持ってきた水で風邪薬を口の中へと流し込んだ。


「俺のせいで起こしてしまったな。もう寝てくれて構わないから。おやすみ」


阿久津さんがそう言うものだから、わたしは自分の部屋へと戻った。


だけど、頭の中はずっと阿久津さんのことが心配で――。