屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
ぐっすりと寝られるわけがなかった。


結局、次の日は阿久津さんは高熱のままで、仕事を休むこととなった。

39度も熱があるのに仕事に向かおうとするものだから、それはさすがに止めた。


ここに住み始めてから、日中に阿久津さんが部屋にいるのは初めてのことだった。


それでわかったことだけど、なんと阿久津さんの食事はほぼ毎日3食ともエネルギー補給用のゼリー飲料だった。

自室の冷蔵庫の中には、ビッシリとゼリー飲料が詰められていた。


朝はそれを持って会社に行き、車の中で飲む。

お昼も同じものを隙間時間に飲む。

夜も帰りの車の中で飲む。


たまに会食が入って外食したりするくらいで、そんな生活をずっとしてきたそうだ。


「いくらなんでも、3食ゼリー飲料はやりすぎですよ…」

「好きでやっているわけじゃない。食べる時間がないだけだ」
< 48 / 88 >

この作品をシェア

pagetop