屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜

「じゃあ、お昼にウチに買いにきてくれたときは…？」

「あれは、たまたま時間が作れたときだ。自分自身へのご褒美で」


――“ご褒美”。

何気なくたまにやってくるお客さんだと思っていたけど、阿久津さんはキッチンひだまりのお弁当を“ご褒美”だと思って買いにきてくれていた。


「やっぱり手作り料理はいいな」


まさか、阿久津さんがキッチンひだまりのお弁当を褒めてくれるとは思わなかったから――。

その言葉にドキッとした。


「…だったら、わたしが作ります」

「え…？」

「病人の阿久津さんでも食べられそうなもの、わたしが作ります。というか、これから毎日朝食とお昼のお弁当と夕食を作りますっ」

「…でも、いいのか？」

「…はい！またゼリー飲料ばかり飲まれて体調を崩されて、わたしが看病するほうが大変ですから」