屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
愛しい男
気づけば、阿久津さんの家に居候して１ヶ月近くがたっていた。


今日も掃除や料理をして過ごす。

まるで専業主婦のような生活を送っているけれど、なにもしていないわけじゃない。


キッチンひだまりを新しくオープンさせるために、いろいろと計画を考えていた。

それで、お母さんも話に合意してくれたらすぐにでも動き出せるのだけれど、そのお母さんがなかなか首を縦に振ってくれない。


「そんなに焦らなくてもいいじゃない。あんなことがあってまだ大変な時期なんだから、もう少しゆっくり考えたら」


お見舞いに行くたびにこう言われてしまう。


ため息をつきながらリビングで１人お昼を食べていると、どこからともなく機械音が鳴り響いた。

この音は、阿久津さんのスマホの着信音だ。


見ると、ソファの端にスマホが落ちているのを見つけた。
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