屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
貴斗は火事のあと、連絡が取れなくなったわたしのことを心配してくれていたようだ。

お母さんのお見舞いにも行って、わたしのことを聞いてくれていたらしい。


お母さんには、今は部屋を借りて1人で暮らしていると伝えてある。


美風商店街の敵の阿久津さんのお世話になっているだなんて、…とてもじゃないけど話せない。

なるべくお母さんには心配かけさせたくなかったから。


「まさか、貴斗とこんなところで会えるなんてっ」

「オレは、立ち退きの書類の確認とかがあって呼び出されてな。心晴こそ、どうしたんだよ?」

「…あっ。え〜っと…、わたしは…」


とっさにいい言い訳が思いつかなくて困った。


「でもまあ久々に会えたんだから、ちょっと話さない?」

「うん、いいよ!」


わたしは貴斗について行った。
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