屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜

てっきりカフェかどこかでお茶をすると思っていたら、連れてこられたのはとあるマンション。


「オレ、今はここに住んでるんだ」


聞くと、駅近のマンションは貴斗のおじさんとおばさんが住むために立ち退き料で買ったらしく、貴斗はもともと別で１人暮らしをする予定だったんだそう。


「この前引っ越してきたばかりで、まだ散らかってるけど…」


そうぼやきながら、貴斗が部屋に案内してくれた。

たしかに、部屋のあちこちには段ボールが積まれていた。


「心晴は適当に座ってて。今、コーヒー淹れるから」

「ありがとう。でもせっかくだし、わたしも部屋の片付け手伝うよ」


貴斗が引っ越すとわかっていたら、すぐに手伝いにきたのに。


とりあえず、貴斗がコーヒーを淹れてくれる間、開いていた段ボールの中をのぞいた。