屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
一番上に置いてあった小箱をつかもうとしたら、手が滑って床に落としてしまった。


その拍子にフタが開いて、中から細かいなにかが飛び散る。

それは、たくさんのジグソーパズルのピースだった。


「…ごめん、貴斗!やっちゃった…」

「お〜…、なかなか派手に飛び散ったな」


貴斗もやってきて、いっしょにピースを集める。


「これじゃあ…、片付けにきたのか散らかしにきたのかわからないね」

「いいよ。ちゃんとフタしてなかったオレが悪いんだから」


貴斗と顔を見合わせて苦笑い。


「これ、なんのパズルなの?」

「夜空の写真のパズル。めちゃくちゃ難しいよ」

「想像するだけで難しそう…!でも、たしか阿久津さんの部屋にも似たようなパズルが飾られてたな〜。男の人って、そういう難しいパズルが好きだったり――」
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