屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜

自分に向かってスマホを向けながら、お店の中をくるりと映す赤髪の人。


「…なんだよ、あいつっ」


陰で舌打ちをした貴斗をなんとかなだめる。


「…待って、貴斗。動画配信者っていう人なんじゃないかな？もしあの人が食べておいしいと思ったら、宣伝してくれるかもしれないし」

「でもっ…」

「それに、今は他のお客さんもいないことだし…ね？」


被害を被ったわけじゃないから、なるべくお店でのトラブルは避けたい。


「…え〜っと。見たところ、いろいろな弁当や一品もののおかずを置いてるって感じですね〜」


赤髪の人は商品棚を見て回る。


「へ〜、ひじきとかおからもあるよ。だれがこんな地味なもん食うんだよってな！」


一品もののひじきやおからが入っているパックを見て、顔をしかめる赤髪の人。