屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「あの…!それだけは、やめてください…」

「だったら、どうすればいいのかわかるよねー?」


赤髪の人は、わたしの顔をのぞき込みながら手を取ってきた。

――そのとき!


「いい加減にしろ」


パッと手を振り払われたかと思ったら、わたしの手を握った赤髪の人の腕をだれかがつかんでいた。

見ると、ダークネイビーのスーツがよく似合う、わたしよりも頭2つ分ほど背の高い男の人。


他にお客さんはいないと思っていたから驚いたけど、騒動の間に入ってこられていたようだ。


「なっ…なんだよ、あんたっ」


赤髪の人は、とっさにスーツの男の人の手を振り払う。


「あんたと同じ、ただの客だ。何事かと思って黙って聞いていたら、迷惑かけてるのはあんたのほうだろ」

「はっ!?オレっちが!?」

「許可もなく撮影して、自分の不注意で商品を落としたにも関わらず謝罪なし。甚だしいにもほどがある」
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