女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
再会したペンフレンドの距離が近い。






長期休み明けが好きな学生なんているのだろうか。


休みの半ばぐらいでちょっとだけ普段の日々が恋しくなってきたりもするけど、終わりが近づくにつれてその気持ちは薄くなっていき、ついに迎えた新学期初日はただただ足が重い。


まあ、夏休み中一度も会えなかった詩織ちゃんに会えるのがちょっと楽しみではあるけど。

それに考えてみれば、一学期の加賀見先輩に出会うまでの毎日の方がもっと憂鬱だったよな。


成績はびっくりするほど高水準で保たないといけないのに、カースト底辺の特待生であるせいで学校の設備は満足に使えず。その上生活レベルが違い過ぎるためか同級生には見下されて仲良くなれず。……というがその頃の環境だった。


だけど加賀見先輩のおかげで、自習場所は確保できたし勉強は教えてもらえるし、友達を作るきっかけもくれた。


女性恐怖症克服への協力というちょっぴり面倒なオプションは付いてるけど、先輩と一緒にいる時間は嫌いじゃない。



< 106 / 153 >

この作品をシェア

pagetop