女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




累くんは、何でも大きな会社の社長の息子らしい。


かつて手紙のやり取りをする中で、裕福な暮らしをしていそうなことは伝わってきていた。

だけどその大きな会社の跡取りだとか、跡取りとして修業するために中学生のときからニューヨークに留学していただとか……駅から学校に着くまで話しただけで、知らない情報が出るわ出るわ。




岸井(きしい)累です。日本は久しぶりなので迷惑を掛けることも多いと思いますが、どうぞよろしくお願いします」




でもってクラスメイトになった。


ホームルームで先生と一緒に入ってきた累くんは、愛想よく自己紹介をする。

軽く周囲をうかがえば、皆さん興味深々で累くんを見ている。




「岸井家って、あの最近かなり勢いがある……」


「中学時代から留学してたんだって、すごいわね」


「というかかっこいい……」




誉れ高き星彩学園の生徒たちでも、転校生イベントにはわくわくが隠せないご様子だ。



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