女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
むしろ昔から同じようなメンバーで過ごしてきた分、これから長い時間共に過ごすことになる新しい顔への興味は、他の学校の生徒たちより強いのかもしれない。
……なんて、ぼんやりしながら分析していると。
「え、何で隣に」
いつの間にか累くんは私の隣に座っていた。
私の隣の席、昨日まで他の子が座っていたと思うのだが。
「『転校してきたばかりで不安だから、幼馴染みの川咲さんの隣にしてください』……って先生に頼んでみた」
「幼馴染みと呼べるほど馴染んだ覚えはないけど」
「ははっ、確かに。じゃあ『将来を誓い合った仲』って紹介すればよかった」
「純度100%の嘘やめて!?」
長らく文通を続けていたからだろうか。十年前に会ったきりとは思えないノリである。
──そして、その後も累くんは何だかんだ言って私に付き纏ってきた。
転校初日だし、心細い気持ちもわかる。私も別に迷惑とは思わない。
思わないけど……