女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。



「ペンフレンドと言っていたな。手紙のやり取りをしていただけで、あそこまで親しくなるものなのか?」


「まあ小さい頃に一度会ってますからね。手紙も10年近く送り合ってましたし」


「なるほど。出会ってからせいぜい数か月の俺では到底かなわないというわけか」




何だろう。ずいぶん機嫌が悪いじゃないか。

というか、この言い方だと……。




「先輩、もしかして嫉妬してます?」


「は……? 嫉妬?」


「『何だそれは初めて聞いたぞ』みたいな顔しないでください」


「この感情が……嫉妬なのか……?」


「初めて芽生えた気持ちに戸惑うアンドロイドかな??」




何だこの茶番。

先輩は普通に感情豊かな高校三年生なんだから嫉妬ぐらいご存知でしょう。




「でも私としては……加賀見先輩とも累くんと同じぐらい仲良くさせてもらってるつもりだったんですが」




加賀見先輩にそこまで仲良し認定されていなかったのだろうか。そう思うとそれなりにショックだった。


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