女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
加賀見先輩は軽く首を振って、星彩学園祭未経験の私に丁寧な説明を始めた。
「うちの学園祭は、基本的には企画を外部に委託しているんだ。他の学校の文化祭のように、クラス単位で出し物をしたりはしない。希望するグループは申請すればステージ発表ぐらいはできるが、例年希望者は多くない」
「え、文化祭って生徒の主体性を養う的なイベントでは? 外部に委託しちゃって大丈夫なんですか?」
「どちらかというと、この学園の威厳を外へ向けてアピールするのが目的だからな。プロの歌手や音楽家を呼んだり、三ツ星レストランのシェフによるビュッフェコーナーを設置したり……かなり盛大にやる。川咲が想像している文化祭とは別物だと思った方がいいかもな」
なるほど、全然イメージできない。
とりあえず、体育館で軽音部が演奏したり、教室を大改造して手作り感たっぷりのお化け屋敷にしたり、安い袋の中華麺で具の少ない焼きそばを作ったり……という感じではなさそうだ。