女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
「今回エントリーがありました仲良しカップルたちは全5組! 中には婚約者同士のお二人もいるとかいないとか……。ではでは、早速一組目から登場していただきましょう! どうぞ!」
婚約者同士のお二人もいるのか。そういうあたりはさすが星彩学園。他の学校ならなかなかないカップルだ。
私はパチパチと拍手を送りながら隣に座る詩織ちゃんに聞く。
「詩織ちゃんの知り合いは何番目に出てくるの?」
「5番目だって聞いてるよ」
「おお、じゃあ最後だね。でもエントリーしたの5組だけなんだ。思ったより少ないな」
「ね。瀬那ちゃんも岸井くんとエントリーしちゃえば良かったのに」
「だから累くんとはカップルでも何でもないし……」
「でも岸井くんは瀬那ちゃんと出たかったかもよ?」
詩織ちゃんは鈴を転がすような可愛らしい声で笑う。
「それとも、瀬那ちゃんには他に心に決めた人が別にいたりして」
「へっ!?」
「ふふ、また後でゆっくり恋バナしようね」