女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
詩織ちゃんからそんな話を振られるなんて。
しかも、てっきり私と累くんが相思相愛なのだと勘違いしているのかと思いきや、そういうわけでもなかったのか。
変にドキドキして熱くなった頬を手であおいで冷ましながら、私はまたステージに目を向けた。
参加カップルたちは、まず簡単な自己紹介をして、そのまま「相手の好きなところを言う」という第一アピールタイムに移る……という流れのようだ。
どのカップルも、見ているこちらがムズムズしてくるくらい初々しい。
こりゃあ出場するだけですごい勇気がいるよな。エントリー数少ないのもうなずける。
3組目のカップルによる「彼女の料理上手なところが好きです」「彼の優しいところが好きです」というベタなイチャつきにも、私は尊敬の念も込みで割れんばかりの拍手を送った。
「ありがとうございました。では続いて4組目のお二人、お願いいたします!」
司会者の進行に合わせて、次のカップルが壇上へと進み出る。
さてさて、次はどんな初々しい二人が出てくるやら。
私は次の勇者たちに期待の目を向けた。