女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。



……と思ったけど。




「そうだ姉ちゃん。今日午前中友達家に呼んでるから」


「え。あんたの友達ってよくうちに来る騒がしい子たち?」


「そーそーいつもの奴ら。まあ姉ちゃん今日どうせ学園祭行くから別にいいだろ」




どうやら家ではくつろげそうになかった。

とはいえ、昼前には学校に着いていなければならないとなると、一度図書館とか別の場所に行くのも面倒だ。


そうなれば選択肢はあまりない。



──結局私は、学園祭最終日ということで賑わいを増している学園に一人でやってきてしまった。




「あと二時間か。どうするかな」




既に持っているパンフレットをまた渡されそうになったので丁重に断り、特に目的もなくふらふらと歩く。

あまり食欲はないので今ビュッフェコーナーに行くのはもったいない。だけど見ようと思っていたものは一日目に詩織ちゃんとあらかた見てしまっている。


まあ、プラネタリウムもう一回見るのでもいいか。

ちょうどそんなことを思ったときだった。


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