女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
「うん、さすがに触れると少し気分が悪くなってくる。背中の汗が止まらなくなるこの感じ、間違いなく川咲は俺と同世代の女子だ!」
「嬉々として言うことではなかろうが!」
だめだ……。
この人、なんかすごい家のハイスぺ御曹司だし、そうでなくても普通に先輩なのに……
つい我慢できずにつっこみを入れてしまう。後で怒られないといいな。
「で、結局『折り入って頼みたいこと』っていうのは何なんですか? 話の流れからしてその女性恐怖症関連ですね? 」
「察しがいいな。さすがは特待生」
いや誰でも察するわ。
むしろこの流れで全く関係ないこと頼まれたらびっくりする。
「他の女子が加賀見先輩の半径1メートル以内に近づけないよう常に見張っていてほしいとか、そんなことでしょうか」