女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。



原因に心当たりが無さそうな先輩に、私はずばり指摘する。




「外に長時間近くにいたせいで体調が悪くなってきてるんじゃないですか!? うわ、よく見たら周りに女の人結構いますよ!」




間違いない。

何も言わないから大丈夫なのかと思ったけど、きっと人知れずストレスをため込んでいて今になって調子が悪くなったのだ。




「いや、体調が悪いという感じでは……」


「ほら、もう帰りましょう」


「でもまだ来たばかりだろ」


「わかりました正直に言います。先輩がこうやって景品取りまくってるせいで、さっきからあっちの店員さんの視線が痛いんです。早く出ましょう」




これも本当のことだった。ジトっとした目でめっちゃ見られている。




「いやでもさっき経営は大丈夫だって……」


「ここまで取るのは普通に想定外です!」




すみません本当……商売あがったりですよね。

とりあえず申し訳なさそうな顔だけつくって店員さんに会釈しておいた。



< 64 / 153 >

この作品をシェア

pagetop