女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。
それは人生で一番綺麗な花火だった。






学校がある日は一日一日がすごく長いのに、不思議と休みの日はあっという間に過ぎ去っていく。

いつの間にか、夏休みが半分ほど経過しようとしていた。


冷房をガンガンにかけた部屋で鬼のような宿題に立ち向かっていた私は、ひと休みとばかりに床に倒れ込んだ。




「つ~か~れ~た~」




床って冷たくて気持ちいいね……

星彩学園に通う他の皆様は、こんな貧乏くさい涼のとりかたしたことないだろうな。


私は集中を妨げないよう部屋の隅に置いておいたスマホを手繰り寄せ、入っていたメッセージを確認する。


詩織ちゃんとは、夏休みに入ってからもとりとめのないやりとりを続けている。

どうでもいい近況報告をし合うのが、いかにも友達同士という感じがして嬉しい。




『今日ドバイから帰ってきたよ~! 二学期にお土産渡すね!』




……まあ、その「近況」がすごいんだけども。

家族旅行ドバイだって。長期休みのたびに毎回色々な国に行っているらしい。



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