女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




「『会うのもお土産も楽しみにしてるね』っと」




私は手早くメッセージを打ち込むと、起き上がってぐっと体を伸ばした。



──そういえば花火大会もう三日後だな。


カレンダーを見て、私は加賀見先輩からパーティーに誘われた一学期最終日を思い出す。


あれ、当日どこに集合すればいいかちゃんと聞いたっけ。

先輩から返信はあったような気もするけど、内容を思い出せない。気になるので、勉強に戻る前にそれだけ確認することにした。


連絡先一覧から加賀見先輩の名前を探し出し、トーク画面をタップしようとする。


その瞬間のことだった。



「姉ちゃん姉ちゃん姉ちゃん」




ドンドンと響く足音と騒がしい声が近づいてきた。

ガチャっとドアが開いて、Tシャツ短パンといういかにも小学生らしい格好をした五歳下の弟が顔をのぞかせる。




「うわびっくりした! あんたもうちょっと静かに開けなさいよ」


「おれ今から遊びに行ってくるから!」


「はいはい気を付けて……って、あ!」


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