離婚まで30日、冷徹御曹司は昂る愛を解き放つ
 その呆れたような口調に果菜は困ったように瞳を瞬いた。

「別に変なことはしてないよ? あっちではまって動けなくなってたから助けてあげただけで。そしたら動かなくなっちゃって……」

 しどろもどろに言い訳めいたことを口にする。ちらりと遼を見ると、仕方ないなといわんばかりの表情をしていた。果菜は思わず誤魔化すような笑みを浮かべた。

「再起動は試した?」

「一応。でも全然反応がなくて……」

 遼はお掃除ロボットの上に屈み込むと、一回、二回と何度かスイッチを押す。
 すると、ピコンと電子音が鳴って、ゆっくりとお掃除ロボットが動き出した。

「え、なんで⁉ 私の時は全然反応しなかったのに……!」

 果菜はその光景を見て驚きの声を上げた。掃除をし直そうとしているのか、のろのろと去っていくロボットの姿を呆然と見送る。

「どうせ力任せに押してたんだろ」

 立ち上がった遼が呆れたように息を吐く。

「そんなこと……ないと思うけど」

 果菜はどこか自信なさそうに答えた。
 それには、理由があった。

「果菜はすぐ壊すからな」

「……その節はすみません」
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