規則正しい、三角関係!?〜交際禁止を守りたいから、2人とも邪魔しないで?〜
流星に伝言頼むのが一番早いのに。
今日の帰り道で話した時の、あの歪んだ顔……。
まあ無理だろうな。
あとはもう連絡を待つしかないけど……。
向こうからしたら用事ないし、
そもそもIDを覚えていないかもしれない。
こんなことなら私も聞けばよかったな。
まさか私から連絡事項が出来るなんて。
……そもそも声をかけることに成功したとして。
こんないきなり誘われたら、真澄くんも困っちゃうよね?
そうだよ。
引っ越してきたばかりで、忙しいだろうし。
仮にも先輩からそんなこと言われたら断りにくいよ、絶対。
……よしっ!潔く諦めよう!
凛に怒られるのは覚悟する。
土曜日は2人で遊んで、
アイスでも奢っておさめてもらおう。
その旨を伝えるべく、
凛へメッセージを打ちかけていたところ、
ヴーッとスマホが震えた。
LINKの通知だ。
[新しい友達]………?
『真澄です。見学の時、ありがとうございました。ちなみに青汁はめっちゃマズかったです。』
わーー!真澄くん!!
……覚えててくれた。
それに、ちゃんと飲んだんだ。青汁。
私が要望したとおり、味の感想を教えてくれる律儀さに、思わずクスと笑ってしまった。
『田中です。連絡ありがとう。よろしくお願いします。やっぱり不味かったんだね、ごめんね。』
よし。出だしはいい感じ。
せっかくの機会だし……
とりあえず、誘うだけ誘ってみよう。
困らせないように、そして、
嫌だと感じたら断りやすいような文章にすることに重きを置いて。
『ところで、忙しければ断ってもらって大丈夫なんだけど、土曜日ってあいてる?良かったら、ボウリング行かない?』
あ、ちょっと唐突すぎたか?
というか、これだと私と2人みたいに見えるな。
……ほぼ初対面の2人でボウリングって、
どんなシチュエーション?
だめだ、すぐ追記を……!
えっと…メンバーを書いて……
あ、お誘いした理由もいるか……
『私と、私の友達と、流星と。
友達が、真澄くんに会いたがってて…
歓迎会ってことで、どうかな?』
ああ………!!
急いで打ったから気付かなかったけど、
結局断り辛い誘い方になってしまった……!
うう………
こういうの向いてないよ……
改めて、嫌なら遠慮なく断ってねって打とうか…
いや、むしろそのそうほうが言い出し辛いか…
うーん、うーんと悩む声に紛れて、
再びヴーっと震えるスマホ。
『ありがとうございます。
土曜日、行けます。よろしくお願いします。』
わ。「考えます」じゃなくて、
思ったより前向きな返事だった。
本心なのか、ちょっと心配だけど……。
……いや、この返事を信じよう。
もしも無理しているんだとしても、
どうか、今回ばかりは許してほしい。
般若のような凛の顔を思い浮かべながら、
心の中で真澄くんに謝罪をする。
それに、せっかくの機会なんだから……
流星とも仲良くなれるといいな。なんて。