規則正しい、三角関係!?〜交際禁止を守りたいから、2人とも邪魔しないで?〜
生徒心得(Ⅵ).勝負の行方
「おまたせ」
お手洗いを済ませ、2人で席に戻ると、
真澄くんが、困ったような顔をしていた。
…凛に何か言われたのかな。
「さて。始めますか!
流星くんも、純くんも、準備いーよね?」
2人が頷く。
「ねえ、ほんとにやるの?」
「んもー、ここまできて何言ってんの。
栞はソコで座って見てて」
強制的に着座させられた。
そこからの展開は目まぐるしかった。
2人とも、流れるような速度で投げ続ける。
スペアを取ったと思ったら、
ストライクが出て、
スペア、またスペア、そしてストライク………
そして気づけば、これから最終フレームに突入する。
9フレーム目までの戦績は、
流星が157点、真澄くんが166点。
すでに、私からするとどちらもバケモノスコアだ。
真澄くんが優勢に見えるが、まだまだわからない。
迎えた最終10フレーム目。
先行、流星の戦績は…
1投目は、8本。
2投目は、残りの2本倒してスペア。
3投目も、8本。
合計点数は185点になった。
真澄くんは、
1投目は、変にカーブがかかってしまい、3本。
2投目で、次に繋がるスペア。
ここまでで、179点。
つまり、この後の最終投球で、倒したピンが、
5本以下なら、流星の勝ち。
7本以上で、真澄くんの勝ち。
「純くん、ラストラスト!気張れー!」
凛が盛り上げている。
私は、静かに見守る。
真澄くんがちらっと私の方を見た…と思ったら、
すぐに背中を向けた。
そして、1回、深呼吸をし、
10本のピンの方向へ踏み出した。
ボールを持った真澄くんの右腕は、
まっすぐなスイングラインを描く。
すごく綺麗なフォーム。
白いピンめがけ、ボールがリリースされるまで、
なんだか、世界がスローモーションに見える。
パコーン!
という音で、そんな錯覚から脱した。
勢いよく転がった球が、ピンに命中していた。