規則正しい、三角関係!?〜交際禁止を守りたいから、2人とも邪魔しないで?〜
数日前までは残暑を感じていたけど、
少しずつ澄んできた空気が気持ちいい。
もうすぐ、街路樹が赤や黄色に色づき始めるだろうな、なんて考えながら、
いつもの通学路を、流星と一緒に歩いて行く。
「ねえ、しーちゃん。
今日、転校生来るらしーよ。1年に」
「へぇ…転校生なんて、はじめてだね」
「そんで、オレのクラスなんだって。来んの。
……なんか、マンガみたいじゃね?」
「そっかあ、仲良くなれるといいね?」
「………んー」
なぜか微妙な返事の流星を横目に、校門をくぐる。
今日も無事、校則通り【8:25までに登校】完了だ。
私たちはいつもと同じように、
下駄箱前でわかれた。
「おっはよー!栞!
今日もイケメン旦那と登校?お熱いね〜⭐︎」
教室に入り、自席に着いたとたん、
騒がしい声が耳に届く。
クラスメイトの笠井 凛。
趣味は[イケメンウォッチ]だという彼女とは、
中学時代からの友達。
「だーかーらー……
いつも!言ってるけど!
流星は、ただの幼馴染っ。
旦那とか、ましてや彼氏でもないの!」
もちろん、そんなこと彼女はわかっている。
「またまた〜羨ましい限りだよ〜」
ほらやっぱり。
私を冷やかす顔は、いつも通りニヤニヤしている。
わかっていて、面白がっているだけなんだ。
「もう。
誤解を生むようなこと大声で言うのやめてよね……
って凛。
髪が肩にかかりそうだから、そろそろくくったほうがいいよ」
「あ〜でたでた。栞ってば、ほんと歩く生徒手帳。
先生より厳しいもんなぁ」
「…茶化さないで!」
ジトっと睨んだつもりだったが、
凛はケラケラ笑うだけ。なにも響いてない様子。
こんなやりとりも、もう定番となってしまった。