規則正しい、三角関係!?〜交際禁止を守りたいから、2人とも邪魔しないで?〜
生徒心得(Ⅸ).後夜祭
『ーー現世での行い、気をつけなければ、
次はアナタの番………』
語り手のナレーションが流れる。
真澄くんのおかげで、
出口ドア前のゴール地点に辿り着けたみたいだ。
すっごく長く感じた。体感は5時間くらい。
実際は15分にも満たないのだろう。
改めて、悪いことはするものじゃないな、と思えた。
コンセプト通りだ。
「栞さん歩けますか?」
「うん、本当にごめんね。ありがとう」
「気にせんでください」
真澄くんの背中から降りて、自分の足で立つ。
うん、全然歩けるな。
さっきは、なぜ立てなかったのか不思議なくらいだ。
出口のドアを開けると…
「し、し、栞ーーーー!!!」
なにかが、勢いよく抱きついてきた。
外が眩しくてすぐ認識できないけど、
まあ、間違いなく凛だろう。
「ごめん、ごめんねえええ!
怖かったよね!アタシが……あたしがあぁあ」
「わ!ちょっ!大げさだよ!大丈夫だから、ね?」
今にも泣き出しそうな勢いなので、人目が気になる。
なんとか凛をなだめ、自分から引き剥がした。
「…しーちゃん」
「あ、流星…。
…ご、ごめんね。勝手にどっかいっちゃって…」
「………ん」
あれ。
いつもみたいに嫌味の1つや2つ言ってくると思ったのに、なんか元気ない。
……流星も怖かったのかな?
「残り時間は、全部楽しいことをしよう」という凛の提案のもと、時間が許す限り回った。
『ーーこれをもちまして、南条祭を終了いたします。本日のご来場、ありがとうございました。
お手元のゴミにつきましては…………』
終わりを告げるアナウンスが流れる。
色々あったけど、今年の南条祭も、楽しかったなぁ。
お化け屋敷以降、
2人はあまり喧嘩もせずに……
っていうか、あれ。
流星の声をほとんど聞いていない。
「流星?」
「うん」
「どうしたの?」
「うん」
「…大丈夫?」
「うん」
ダメだ…。お返事botと化している。
こんなの、初めてだ。