規則正しい、三角関係!?〜交際禁止を守りたいから、2人とも邪魔しないで?〜
校門が見えてきたが、違和感は増す一方だった。
周りにいた女の子たちが、
次々と吸い寄せられるように、
学校の敷地内に入っていく。
「…ねぇ、今日って何かあるんだっけ?」
「さぁ……や、てかアレじゃね」
「え?」
流星が指差す方向を見た。
「………な、なにこれ…!?」
違和感は驚きに変わった。
……イベント会場は、ここだった。
グラウンドの半周を埋め尽くす勢いの、
たくさんの女の子たち。
きゃいきゃいと声が響いている。
その女の子たちは、何かに誘導されるように、
南条高校サッカー部側にある防球ネットに沿って、
ずらーっと列を成していっている。
わわわ。このまま進めば、
私たちも巻き込まれてしまう……!!
慌てて流星を引き連れて場所を移し、
女の子たちの視界に入らないよう物陰から様子を観察する。
装備した双眼鏡を覗いて、
何かを探すようにキョロキョロ見回している子もいるけど、
多くの子は、さっき見かけたような文字の書かれた団扇やボードを、手元に掲げている。
そこに書かれていたのは………
[真澄♡シュート]とか、
[ピースして❤︎純]とか、
[MASU JUN]と…か………。
見渡す限り、
[真澄]もしくは[純]という文字ばかり。
まてよ。
ってことは……。
これ全員、真澄くんのファンってこと!?
にしても、マスジュンってなんだ?
いつの間にそんな呼ばれ方になったの。
列の手前には、
怖い顔で、『最前管理してます』という
異質なプレートを掲げている人もいる。
………どういう意味?
異様な光景に、ただただ唖然とする私。
流星は、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
ウォーミングアップをしている部員のみんなも、
すごく迷惑そうな顔だ。
そりゃ、今から試合だっていうのに、
これじゃあ気が散るだろうなぁ……。
顧問の先生とかコーチの方はまだ来てないのかな。
…あれ?
というか、当の本人の真澄くんも見当たらないような……。
「ねー、しーちゃん。もう帰ろー」
「ええ?…なにいってんのここまで来て」
「だって、こんな中入ってったら、死んじゃうよ」
「…し、死にはしないよ……多分」
「てか。どーせわかんないし。
しーちゃん来てるかなんて」
「わかるわ」
突然、背後からの声で、驚いて振り返る。
水色のユニフォームを着た、真澄くんがいた。