規則正しい、三角関係!?〜交際禁止を守りたいから、2人とも邪魔しないで?〜
ライトアップ後、
ますます混んできた会場内を、なんとか歩き、
ようやくツリー付近に辿り着いた。
「……あ!あれじゃない?」
少し先の方に見える、ふわふわ頭。
近づくと…やっぱり。
探していた2人だった。
目を輝かせてツリーを見上げている凛、と……
………不機嫌そうな顔の流星。
「凛ー!流星ーーー!」
「栞!純くん!もー、会えないかと思った!」
「……しーちゃん、どこいってたの」
「私の靴紐がほどけて……声かけたんだけど…」
「…なにしてんだよ」
「ご、ごめんね。
…もうはぐれないようにするから、今から一緒にまわろ?」
「…ん」
コクリと頷く流星。
よかった。すぐに機嫌なおった。
それから私たちは、
イルミネーションを楽しみながら、
いろんな露店を回って、
プロジェクションマッピングをみたりして。
会場内を端から端まで堪能した。
「…ね、ねえ、栞。[藤白くん]って、知ってる?」
駅への帰り道、
不意に凛から問いかけられた。
「え?藤白くん……って、うちの学年の?」
「そう!」
「うん。…知ってるも何も、副会長でしょ?生徒会の」
「え!?副会長!?」
「う、うん。もしかして……知らないの?」
「知らないよ!!!」
「えぇ……」
全校集会中、一体何を見ているんだろう。
毎回生徒会のみんなが壇上で話してるのに。
「…で、藤白くんがどうかしたの?」
「いや…特に深い意味はナシ」
「えぇ……??」
「そーいや…
終業式で会長さんが、なんや言うてましたよね?
冬休み明けにお知らせがある…とかなんとか」
そう。
面倒くさがり屋で、人前に出たがらないで有名な
生徒会長の相沢くんが、
終業式は珍しく壇上に上がった。
でも、発言はたった一言。
『休み明けに発表がある』という予告だけ。
詳細は教えてくれなかった。
「うん、言ってたね。
どういうお知らせなんだろ?
何か知ってる?流星」
「しらね。
どーせ、どっかの部活が大会で優勝したとか、
そーいう系じゃね」
「……それ、ためて発表する意味ある?」
「…ないなぁ。その場ですぐ発表してほしい」
「えーっと…一応聞くけど、凛は…」
「ん?かいちょー、そんなこと言ってたの?
全然聞いてなかった!!」
「………」
真実は、先生と生徒会のみぞ知る…のかな。
帰りの電車内。
3人は疲れ切ってしまったのか、
4人がけの席に座って、
発車後間も無く、夢の中へ。
凛は、私に頭を寄せて。
流星と真澄くんは、見事に顔を背けて。
すいている車内に、それぞれの寝息が響く。
………あぁ。今日も楽しかったな。
ボウリング、文化祭、修学旅行。そして今日……。
降り積もる雪のように、
一つずつ、思い出が増えていく。
それは、とても幸せなことだけど。
………時が進んでいくことを、怖いとも思う。
そうか。
私の心はまだ、あの夏で止まったままなんだ。