お嬢さまですもの!
1 すてきな魔法使い
 わたしは、人と話すのが苦手だ。

 自分の考えをうまく言えないし、他人の話を聞いても、どう反応すればいいのかわからない。

 だから、わたしはおとなしくて、人見知りするタイプ――ということになる。

 さかのぼれば、幼稚園のころから無口だったらしいから筋金(すじがね)入りだ。

 誰かにジャングルジムから突き落とされてケガしたり、砂場で砂をかけられたりして、大泣きした記憶がおぼろげにあるから、そういうイヤな経験で、他人が怖くなっちゃったのかな?

 あるいは、元から無口なのをいいことに、いじめられやすかったのかな?

 小学校に上がっても無口なわたしだったけれど、両親は大らかに見守ってくれた。

 もちろん内心は心配だったに違いないよ。担任の先生には「大きな声で、ハキハキとしゃべりましょう」って、口酸っぱく言われたし、通知表にも「桜子(さくらこ)さんは、あまり話してくれないから心配です」と書かれたくらいだから。

 わたしが唯一、心を許せたのは、隣の家に住む幼なじみの(まい)ちゃんだ。

 彼女は気弱なわたしを見下すようなことはなかったし、学校でもドコでも、守ってくれたんだ。

 ところが小学二年生に上がったばかりの春――事件が起きてしまった。
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